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Surface Tension

by France Jobin

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water 72.86 20:02
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about

カナダ、モントリオール在住の女性サウンドアーティスト、アイエイトユー。
ドローンや電子的なノイズがアンビエントになっていく。今ではさほど珍しくないスタイルだが、これほどまでにピュアに、且つ音楽的感情の向くがままに作曲するアーティストを私は知らない。
その意味で私は彼女とモーツァルトが繋がり、作風はドビュッシーのように印象派的だが、他で一度もそういう評論を読んだ試しがないので、私の気のせいかもしれない。

ミニマリズムとロウアーケースの狭間を絶えず揺り動きながら彼女の眼差しは、自然への畏怖と憧憬、科学への猛烈な興味に向けられている。
ひも理論や、顕花植物、共生、障害相、表面張力などの科学的なワードが作品名や楽曲名に並ぶのは、彼女にとっての抽象抽出の方法が自然科学でのそれと同調するからに他ならない。
何の為に還元するか、何の為に抽象化するか、また彼女がサウンドアーティストではなく音楽家であるところの所以は、直感的な相互理解を促すというそれ一点に注がれている。
例えばひも理論はこの多様な世界の構造を説明する一つの解釈であるが、人間にはそれを証明する術がないという意味で抽象的だ。
人間の認識能力には限界があるから、科学は原理的に抽象化せざるを得ない。
そして科学的な還元を通過した抽象は、民族や環境、世代を越えてある一つの解釈を私たちにもたらす。


彼女は普段自宅のあるカナダ・モントリオールの山道をジョギングし、その時にハンディーレコーダーをポケットに忍ばせておくのが日課だと言っていた。来日した際にも代々木公園や、横浜みなとみらいの観覧車の中や浅草寺などいたる所でレコーダーを回して、どうやらその日のパフォーマンスに使用しているようだった。

逆説的に聞こえるかもしれないが、彼女はフィールドレコーディストだが彼女にとってそれが何の音であるかは全く意味がない。
それはあらゆる地域性や民族性を越えて、確固たる共通項を見ているからに他ならない。
あらゆる音響特性が点在する街の中を、自分が動きながらレコーダーを回す。
音響特性から音響特性への主観的な移動の純化。そこから取り出される音響がアンビエントに接近しないわけがない。

繰り返すが、彼女の音楽には子供の頃に感じた、世界への不思議や高揚感が詰まっている。
そしてそれは時に水のように吹きだまり、時に風のようにたわみ、過ぎ去っていく自然そのもののようだ。

「Surface tension」は2011年の作品だが、全くその作品の強度が薄れる事はない。
カナダとヨーロッパの各都市でのフィールドレコーディングが素材となっているという事だが、その面影はどこにもない。
あるのは純粋還元された揺らぎそのものである。
1曲目の「Water 72.86」、冒頭から低く揺らぎながら流れる低音のドローン、若干エレクトロニカ的な解釈の見える中域、そして高域のサイン波が一筋のオーロラのように鈍く色彩を放ちながら流れていく。
第一主題部の移り変わる倍音の美しさ、残り6分半を過ぎた辺りからの第二主題部はブラームスの間奏曲を聴く時のように穏やかに優しく質感を変えていく。

2曲目「toluene 28.52」も構造的には1曲目とほぼ同じで、残り10分を過ぎた辺りからゆっくりと収縮、展開していく。
この移り変わりの美しさはちょっと他のアーティストではお目にかかれない。ビロードのように複数の音のひだがうねり、スピーカーから水平に溶け出してくる様は圧倒的に美しい。

当初は2曲だけの収録予定だったが、私のリクエストで新たに追加された3曲目「ethanol 22.29」はそれまで溶け出していた意識をもう一度締め直すような高音域のサイン波に始まり、そこへ再び優美なドローンが邂逅していく。
響きは展開された第一主題とでも言うべきマイナー調に始まり、やがていつの間にかゆっくりと主題の再現へと向かっていく。
この三曲はつまりソナタと見ると全体の流れが俯瞰しやすいと思われる。

この作品のマスタリングはUKの老舗レーベルTouch作品の殆どを手がけるエンジニア、Dennis Blackhamで、DennisもFranceの作品をやるのは初めてだと言っていたが、二人ともとても楽しく仕事をしてくれた。
Dennisの最大の持ち味である、低域のクリアな纏め方が遺憾なく発揮されていて、作品が更に鮮烈にアップデートされた。

credits

released November 16, 2011

i8u : field recordings,guitar,piano,sound processing and composition.
All sounds were recorded at various locations in Canada and Europe in 2010.
Mastered by Denis Blackham @ Sky Mastering.
Photography and design by Emi Aida.
All tracks published by murmur records.

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France Jobin

France Jobin is a sound / installation / artist, composer, and curator residing in Montreal, whose audio art, qualified as "sound-sculpture", reveals a minimalist approach to complex sound environments where analog and digital intersect.

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